2本目 FUJINON TV 1:1.4/50
FUJI PHOTO OPTICAL CO.FUJINON TV 1:1.4/50 の修理をしました。
はじめに
Cマウントの小ぶりな単焦点レンズです。
調べると富士フィルムが製造していたCCTV用のレンズらしく、ネットで検索を掛けても全くヒットしないので素性が謎のレンズでしたが・・・
打痕の修正
一番上の写真を見てわかる通り、鏡筒の先端部に打痕があり変形しています。(写真は修正後)
そのためヘリコイドがうまく回らずピント調節ができない状態でした。
Neewer カメラレンズ万力修理ツール レンズとフィルターに対応 リング調整範囲27mm~130mm、スチール構造
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打痕の修正はこんな器具を使って試みたのですが、ある程度から広げようとすると押さえている反対側まで伸びてしまうので、前玉が外れる程度まで広げたら端っこはプライヤーで修正しました。
少し塗装が剥げてしまいました。
ここは変形が特にひどく、すでに綺麗に治すことは諦めていたので最悪の場合には切り落とすつもりでいました。
フォーカスリングの分解
次に前から手を付けていきます。
ひとまず銘板をはずすと前玉群がお目見え
前玉もカニ溝があったのでレンズオープナーで回します。
銘板と前玉群はこんな感じになっていました。
通常のフィルムカメラ用のレンズだと銘板はレンズフィルターなどをつけるねじ溝、つまり鏡筒側に固定されていることが多いのですが、こいつは前玉群に銘板が固定されています。
次にフォーカスリングを固定しているイモネジ×3を外します。
実は今回の修理は鏡筒の修正とこのイモネジを増し締めするだけでもよかったのですが、絞りリングを回すとガリガリと抵抗がありスムーズではないのでもうちょっと分解します。
フォーカスリングを外すと、ヘリコイドがお目見え。
イモネジが真鍮製のリングの部分に固定されるとフォーカスリングでピント調節ができるのですが、私の手元に来た状態だとイモネジが効いておらず滑った跡がありました。
おそらく前のオーナーが鏡筒が変形している状態(前玉群が鏡筒と当たっている状態)で力づくで回して、イモネジが滑ってヘリコイドが動かない状態になったと推測されます。
絞り周辺の分解
次は絞りリングを分解するために後ろからバラしていきます。
マウント部分は手で回せば外れます。
銀色のこれ(名称不明)もイモネジ×3個で固定されています。
外すと絞りのクリック感を出している球が落ちるので気を付けましょう。
ガリガリの原因とちょこっと加工修正
これで絞りリングが外れるのですが、どうやらこの絞りリングがガリガリの原因だったみたいです。
凹部分が接触していたようです。若干の歪みも見られました。
仕方がないので角を鑢で少し削ってアールをつけておきました。
内側にも接触の痕跡があったので軽くシリコングリスを塗っておきます。
組み立て
あとは逆の手順で組み立てていきます。
基本的にイモネジで止めてあるだけなのと、ご丁寧に無限遠マークがあるので、マークに合わせて組めば簡単です。
絞りリング周辺を組んだら試しに動かしてみましょう。
直径50mmほどの小さいレンズなのに10枚羽と凝った作りをしています。
こういった手の込んだ機構を観るのはなかなかいいものです。
ヘリコイドリングにも縦傷のようなマーキングがあります。
はい完成。
レンズコーティングの色はアンバー系ですね。
Cマウントレンズをカメラにつけるには
このレンズをカメラにつけるにはCマウントをM4/3マウントに変換するアダプターが必要になります。
SODIAL(R) C マウントレンズ-マイクロフォーサーズ(オリンパス、パナソニック)カメラボディ対応 レンズマウントアダプター C-M4/3
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ただの金属のフランジなので500円も払えば怪しい中国生産のアダプターが購入できます。モノによっては無限遠が出なかったりするかもしれないので、スクラップ覚悟で購入しましたがきちんと無限遠が出たので当たりだったみたいです。
フランジバックの関係でマウントアダプターも6㎜とかなり薄く作られています。
カメラに装着するとこんな感じ。
サイズ的にG8とかGH5とかの大きくて握りやすいカメラよりも小ぶりなGF1に似合いますね。
実写レビュー
レンズの写りの良し悪しを語れるほど詳しくはないのですが、解放からいい写りだと思います。
まとめ
今回はドツボにはまることも無かったので、作業ボリュームも程よく、なかなか楽しい分解でした。
各部の工作精度も高く、古き良き時代の日本のモノづくりを感じることが出来て、組んでいて楽しい気分になるレンズです。さすが富士フィルムといったところでしょうか。