バイク整備 燃料タンクコーティング

前回は錆と腐ったガソリンが入った燃料タンクを綺麗にしましたが、
mmttx.hatenablog.com

 

今回はガソリンタンクにコーティングをします。

 

 

1.なぜコーティングをするのか

錆を落としたての燃料タンクの表面は保護するものが何もないのですぐに錆びてしまいます。

そこで剥き出しの地金をコーティングをすることで錆の再発を防止しようという狙いです。コーティングさえできればタンク内部のサビについては今後心配する必要が無くなります。

 

 

2.コーティング剤を選ぶ

 オートバイの燃料タンクのコーティング剤としてメジャーなのはワコーズのTALタンクライナーとPOR-15のタンクシーラーがあります。

 

  

 タンクシーラーはキタコが小分けにして販売しています。

1L容器(内容量は32オンスなので907グラム)のものもありますが結構高価です。

 

 WAKO'sのTALタンクライナーは2液性のエポキシ樹脂でタンク内をコーティングするもので硬化に70~80℃で30分ほど加熱する必要があります。自然乾燥で2日以上です。

 

POR-15 燃料タンクシーラーは1液性ですが、効果に96時間(4日)ほどかかります。

 

どちらも評判がいいのですが、私はWAKO'sのTALタンクライナーを選びました。

 

 ワコーズを選んだ理由

単純にエポキシ樹脂はカーボンなどでよく使っているので慣れているというのもありますが、POR-15のタンクシーラーはおそらく気温20度の環境で96時間だと思うので、冬場にはもっと時間がかかると思いました。

そのため目に見える範囲が硬化していても、よく見えない板の合わせ目などがまだ硬化していない状態でガソリンを入れたり、なんてことも予測できるので、2液性の方が作業性はいいと判断しました。

 

3.脱脂する

早速コーティングの作業を行いますが、まずはアセトンでタンク内の水分の除去と脱脂を行います。

 

アセトンは水、油に溶けやすい有機溶剤で、身近なものだと除光液などに使われてるものです。ホームセンターのFRPコーナーで刷毛などの洗浄用として手に入ります。

 

ただし結構強力に樹脂を溶かすので塗装面につかないように気を付けましょう。(塗装も樹脂の一種です。)

 

アセトンで脱脂後は、コーティング剤をタンクに入れます。

 

4.ガソリンタンクにコーティングをする

 

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バイクは18リットルタンクなので、一回のコーティングでは半分使うことになります。

 

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取扱説明書を読むと、錆びたタンクは二回コーティングをすることを取説では推奨されているので一台分でタンクライナーを使いきります。

 

主剤、硬化剤を8対2(容量比)で混ぜます。20リットルタンクとして、主剤120mlに対して硬化剤30mlです。

 

エポキシ樹脂は正確に計量しないと本来の強度が出ないで精確に計りましょう。

 

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 注意点としては、主剤の缶の底に塗料などが沈殿しているので容器に注ぐ前に良くかき混ぜることです。

 

入れたらタンクをぐるぐる回して全体に行き渡るように動かします。

 

全体に行き渡らせたら余分なタンクライナーを抜きますが、CB400のインジェクションモデルは燃料ポンプの穴からホースを使わずにシリンジ使って抜き取ります。

 

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加熱乾燥(硬化)させる

乾燥は段ボールに穴を開けて普通のヘアドライヤーで加熱しました。

ヘッドライトの殻割りの要領です。

 

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外気温一桁のこの時期だと50~60℃前後程度でした。

 

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80℃で20分加熱なので、若干温度が低いため、加熱時間を伸ばして40分ほど行いました。

 

※加熱時の注意点※

ヒートガンだと温度が高くなりすぎてエポキシ樹脂が沸騰して失敗するので止めたほうがいいでしょう。

 

エポキシ樹脂は混ぜた際の化学反応でもそこそこ発熱するので、必要以上に加熱すると一気に沸騰します。一度にたくさんの量を混ぜると煙が出るくらいには危険です。

 

 

  完全に硬化していることを確認したら、しばらく放置してタンクが冷えてからもう一度コーティングを繰り返します。

 

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※エポキシ樹脂の重ね塗りの注意点※

WAKO'sタンクライナーの取扱説明書には特に明記されていませんが、一般的にエポキシ樹脂を重ね塗りするときは、日を置かずに当日中にやった方が良いです。

数日くらい置くとエポキシ樹脂表面が完全に硬化して接着力が弱くなる為、最悪の場合には重ねた層が剥離する事になります。

 

 

 

燃料ポンプのガスケットは新品に

2回目のコーティングがすんだら燃料ポンプ、タンクキャップを付ければ完了です。一度脱着した燃料ポンプをつける際には、ガスケットを新品に交換しておきます。

 

 

5.バタフライバルブの清掃

バタフライバルブが固着するトラブルに対しては、エアクリーナーを外してファンネルからKUREのエンジンコンディショナーを吹いて清掃します。

 

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ついでにせっかくタンクを外したのでエアクリーナーエレメントも洗浄しておきました。

 

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あとはタンクにガソリンを入れておしまい。

 

しばらくの間は洗浄効果を期待してガソリン添加剤を入れて乗りましょう。