RICHO THETA SCのレンズ交換 ニコイチ修理

落下によりレンズが破損した360°カメラのRicoh Theta SCを入手したので修理してみました。

 

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実は一度中古で同じモデルであるTheta SCを持っていたのですが、ある日wfIi、カメラ、動画の三つのLEDインジケータが点滅してフリーズするというソフトウェアトラブルに見舞われて天に召されてしまったので、レンズだけ交換しニコイチにして修理しようというのが今回のお話です。

 

Theta SCの分解自体はすでに数々の先輩方が着手されており、情報が豊富にネットにあるので難易度はかなり低い修理でした。

 

底面のシールを剥がします。このシールはwifiのパスワードが印字されており、組み立て後に貼り直すので丁寧に剥がしましょう。

 

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シールの下に+0番のネジが見えてきます。

片方のカバーだけ外せれば良いので、シャッターボタンの反対側のネジ2本だけを外します。

 

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このカバーは2本のネジ以外にはツメではまっているだけなので、引っ張っれば外れます。

 

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そうすると中の基盤やらバッテリーやらが見えてきます。

 

ショートが怖いのでバッテリーを外しましょう。バッテリーは本体と両面テープでくっ付いています。

 

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なおTheta SCは本体メモリーに8GBのmicroSDを使っているので、用量を増やしたい方はバッテリー下のプレートを外してさらに分解を進めると交換できます。(私の使い方だと360°カメラは変化球的なサブカメ扱いなので、今回は交換しません)

 

特徴的な魚眼レンズの上下にネジがあります。

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フレキケーブルが左右にあるのでこれを外します。

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そうするとレンズが摘出できる状態になります。

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一応レンズには向きがあるのですが、ケースとレンズのかみ合わせが左右で違うので組み立てに間違うことはないと思います。

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後はレンズを交換してカバーを付ける前にバッテリーを取り付けて動作チェックしておしまい。

 

作業時間的には1時間もあれば終わります。

 

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修理に出すともう一台中古で買えてしまうので、修理の見積もり金額よりもだいぶ安く済みました。

 

ダイソン V8 ソフトローラーヘッドの分解

今回もダイソンのコードレス掃除機のネタですよ。
分解されるのはソフトローラーヘッドです。例によってローラーが回転しなくなる故障です。
まあ購入から年数経っていますし、畳部屋用のヘッドなので使用頻度は少なかったのはずなのですが故障したので治しましょう。

 

 前回のミニモーターヘッドよりは難易度高めなので参考にされる方はくれぐれも自己責任の下でお願いします

 

 

 

ちなみにAmazonでの並行輸入品は9000円ちょっとの値段です。

  

 

 分解前の動作チェック

 

例によってテスターでは導通はあるので、断線の可能性はなし。


 導通はあるのに、掃除機に付けたら動きません。


ただし、eneloop✕四本直列の簡易電源の場合にはゆっくりとですが動きます。

 

 

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ここまではダイソンの公式動画を参考にしてね

 

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いきなりここまでバラしていますが私の記事よりもはるかに分かり易く、ダイソンの公式のメンテナンス動画で分解手順は紹介されているのでやり方は省略します。

 


Dyson V8 / V7 コードレスクリーナー ソフトローラーヘッド 回転ブラシの洗浄

 

肝心なのはこの先のモーターの部分です。

 

ヘッドから駆動部分を取り外す

 

排気カバーを外す

ソフトローラーヘッドはローラーの軸の中にモーターが入っている仕様です。

 

まずはヘッドから駆動部分を切り離したいので 排気穴のあるカバーを外しましょう。

 

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細いローラーがついていた場所と、モーターの入っている筒の個所にねじがあるので外します。

 

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カバーを外すとギボシがあるのでこれを抜きます。

ギボシはツメでロックがあるので精密マイナスドライバーなどでツメを起こしてから引き抜きましょう。

 

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色は良く見るとグレーとブラックの配線色になっています。


分解する身としては、赤黒にして欲しいところですが、透明な筐体だから透けて見えない様に配慮しているのでしょうか。

 

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トルクスネジを外すとモーターアッセンブリーが外せます。

 

モーターアッセンブリーの分解

モーターアッセンブリーを取り外す際には配線があるので引っかからないように注意して外しましょう。

 

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ここにツメがあるのでマイナスドライバーなどで広げると筒がはずせます。

 

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モーターアッセンブリーの中身

筒の中身は遊星歯車とモーターです。

 

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変速機構は写真の通りプラネタリーギア二段の構成でした。

モーターだけにしてはやたら長い形状だと思っていましたがなるほど納得です。


前回修理したミニモーターヘッドはベルト駆動だったので、こっちのほうが手の込んだ作りになっています。

 

 前回のミニモーターヘッドはこちらmmttx.hatenablog.com

 

 


観たところシリコン系のグリースが塗ってありますが、経年劣化?で粘土も緩くなっていて筒の外にもグリースが付着しているので無水エタノールで拭いておきます。

 

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モーターの分解 

DCモーターの分解に移ります。

 

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白い養生テープで止まっている黒い物体✕2は連続稼働させた際の過熱防止の温感ヒューズかなにかでしょう。

 

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確かにプラスチックの筒+ソフトローラーの中だとモーターからの放熱もあんまりだろうし、酷使すると辛そうな感じはありますね。

 

 

ひとまず前回同様にホコリがすごいので清掃をおこないます。

 

 

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毎回思うのですがモーターの冷却穴にここまでホコリが溜まるとなると、最悪燃える可能性がありそうで少し恐怖を覚えます。

 

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今回のモーターもジョンソン社製のモーターのようです。
サイズ的にも同じ型番のモーターではないかな?

 

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裏蓋を外すとホコリが炭化してて、整流子が台形に変形していました。

 

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簡単にエアブローとパーツクリーナーで清掃します。

 

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一旦ここまでで組んで動作テストをしましたが、相変わらずダイソン本体からの給電だと動かない…

 

 

気を取り直してもう一度分解してみます。

 

 動作不良の原因の特定と修理

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良く見ると全部で五つある内の四つはハンダが割れてました。

 

温度を上げ過ぎたみたいにハンダの表面がブツブツになっているので、おそらく連続使用時間を無視して使用し続けた為に熱でおかしくなったのでしょう。

 

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再ハンダとサンドペーパーを使って段付きの修正、ついでに整流子の間の溝にもカーボンが貯まっているので綺麗にします。

 

実はハンダだけ直して動かしたら、段付きが原因でブラシから火花が出てました。

 

モーターだけ組んで簡易電源で駆動させた際の電流値もミニモーターヘッドと同じ位になったので直ったようです。

 

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あとは逆の手順で組み立てておしまい。

 

組み立てる際に遊星歯車はシリコングリスを新しく塗りなおしておきます。

 

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 シリコングリスは単に手に入りやすいという理由でホームセンターでも買える呉工業のシリコングリスを使用しています。

 

 


念のため当分の間は連続稼働は控えて、モーターを休ませつつ様子を見ながら使います。

ダイソン V8 ミニモーターヘッドの分解と修理の話

今回はダイソンのコードレス掃除機 V8で使用しているミニモーターヘッドを自分で修理したお話です。

  

コードレス掃除機は気になったその時に、コンセントをさすという準備動作が要らずに掃除ができるのが大きなメリットです。 

とりわけダイソンのコードレス掃除機V8は下手なコード付きの掃除機よりもパワフルなので気に入っています。

 

年末の大掃除で車の中や、細かい隙間などのほこりが気になった場所の掃除にと大活躍していたのですが、掃除中にローラーが動かなくなってしまうトラブルが発生。

 

修理に出してもよかったのですが、並行輸入品が買えるくらいの値段で、しかも年末年始のこの時期なので自分で修理することにしました。

  

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壊れたのはこれ。 

 

 

 

 

 症状

症状としては、ローラーが掃除機のスイッチを押しても回らない。

本体側のモーターだけ回っているので吸い込みだけはしている状態です。

 

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故障箇所の切り分け

まず故障したのがヘッド側なのか、本体側なのか ?

 →本体は他のモーターヘッドを付けたら普通に使えるので問題なし。

 

と言うことはヘッド側に不具合の原因があります。

 

ヘッドの構成部品は大まかに分けて、ヘッド(筐体)、ローラー、駆動部品(モーター、電極端子など)に分けれらます。

 

指でローラーを回すと、特に引っかかりもなく回り、テスターを当てたら導通もあります。

 

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テスターに繋いだままグリグリとヘッドの角度を変えたり、ローラーを動かしても導通があることから、おそらく断線や接触不良はなさそう。

消去法で故障原因はモーターだろうと思い、モーター交換なら自分でもできそうです。

 

ただ一点、心配だったのが、ダイソン社は本体側のモーターの開発を自社でしているので、ヘッド内のモーターも自社製品だとしたら交換部品が手に入らない可能性がありました。(この手の部品は普通販売していない場合が多い)

 

ダメならダメで諦めもつくので、作業を進めます。

 

ヘッドの分解

回転ブラシを外す

 

まずは硬貨を用意して、回転ブラシを外します。

 

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側面カバーを外す 

次にモーターが収まっている辺り、T-8のトルクスねじで固定されている側面のカバーを外します。

  

トルクスを使用しているということは、ユーザーに対して”分解するな”というダイソン側からのメッセージなのですが、気にせず作業を進めます。

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この位置にはツメがあるので割らないように注意しましょう。

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すると駆動部分が見えてきました。

モーターの駆動をベルトでローラーへ伝達するシンプルな構造です。

  

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 モーターは0番のプラスねじ×2個で固定されており、スプロケットとモーターを固定しているブラケットは赤矢印の二か所で爪で固定されています。

 

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ここまできたらモーターはL字の平端子で電極とつながっているだけで、引っ張ったら外れました。

 

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モーターの分解・清掃

 

モーターを摘出してみると、冷却用の穴からホコリやペットの細い毛がすごい量が出てきました。

 

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下手したらブラシが焦げててもおかしくなさそうな嫌な予感がしつつも、内部を見ないことには判断できないので、ブラシや巻き線の状態を確認するためにモーターを分解します。

 

これはひどい、分解前にある程度は取った筈なのに内部にも結構な量のゴミが溜まっています。

 

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幸いにもブラシの状態を観たら特に変な減り方や、カーボンが溜まっているわけでもありませんでした。

このくらいの状態なら特に問題なく動いてもいいはず…  

 

ひとまずエアブローと歯ブラシで綺麗にします。

 

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巻き線も変色もしていないし、一度モーター単体で動くかテストします。

モーターの組み立てはプラス側にマーカーがあるので合わせましょう。 

 

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適当な乾電池をつなげて通電させてみたところ、なんとあっさりと回転しました。

ゴミが悪さをしていたのか、一回ブラシを外したのが良かったのかわかりませんが、とりあえず使えるようになったのでよしとします。

 

ちなみに使われていたのはJONSONエレクトリック社製のDCモーターでした。

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たしかマキタの電動工具にも使われているメーカーですが、ググっても部品はヒットしないので一般消費者には販売していない会社なのかも。

モーター交換の際には同じ部品は手に入らないかもしれませんね。

 

組み立て

モーターが動くようになったので組み立てます。

 

モーターの端子が接続部のピンと銅線でつながっているのですが、そのままではつけられないので、導通ピンもいったんヘッドから外す必要があります。

 

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ヘッドと平端子はツメではまっているので外します。

 

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トルクスねじを外し、端子をモーターにつけておきます。

 

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その状態でモーターをヘッドに入れ、ピンセットなどで端子を引っ張ります。

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配線の色を間違わないように注意しましょう。

 

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モーターを固定していたねじは振動による緩み止め対策にねじロックが塗ってあったので組み立ても塗っておきましょう。

 

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 モーターを落として、ピニオンが若干かけてしまったので接着剤で直しています。

 

 

 

組み上げたらこの通り、元気に回転しています。

 

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今回の様な作業ボリュームの清掃程度なら個人的にはまあいいかとも思いますが、再発する可能性は高そうです。

 

修理に出すと新品(並行輸入品が)が買えるほどの値段がするので保証が切れている方で、ご自分である程度できる方はおすすめです。

 

バイク整備 タンクキャップの分解

 

今回はガソリンタンクキャップの清掃です。

 

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1.分解する理由

前回、前々回とガソリンタンクのサビ取りとコーティングをしましたが、サビ取りの時にガム質がついてしまい、キーを回す時も動きが渋くなってしまいました。

 

実は以前にも給油の際にキーを回してもキャップが上がらなくなることが何度かありました。その時はキャップを押したりしているうちに開くようになったのですが、その時から中の構造が気になっていたので分解してみたかったというのがあります。

 

2.分解

はじめにマイナスドライバーなどで矢印の先のリング状のストッパーを外します。

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そうするとタンクとの気密性を保っているゴムのパッキンが外れます。

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パッキンを外すと凹があるリングが見えてくるので

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ロックスライドに合わせてリングを外します。

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スライドを押して、テーパーのあるフランジとプラスねじ3個を外します。

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そうするとフランジが外れてその下にあるスプリングが見えてきます。

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裏側はこんな感じ

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キーシリンダーの先端も汚い・・・

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やはり可動部のところどころに汚れがたまっていて、動きが渋くなっていたようです。

 

ロック機構はゴムの板を外すとオーリングのついたプラスチックとスプリングが出てきます。

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この部品が入っていた穴には小さな横穴が開いていて、タンク内の圧力を調整していたようです。

 

3.清掃

 

ここまできたら清掃に移ります。

洗浄は歯ブラシと湿式エアフィルタのクリーナーで行いました。

清掃後はこんな感じ。

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注意点としてはパーツクリーナーなどはゴムの部品があるので、ゴム、プラスチック対応品でない限りやめたほうがいいでしょう。

ゴム、プラスチック対応のパーツクリーナーがAZから販売しているようです。

 

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シリンダー部はキーを引く抜くとロック板がばらばらになるので、差し込んである順番を注意しましょう。一応フランジは金属と擦れるのでピカールで磨いておきました。

 

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 摺動部とオーリングは軽くシリコングリスを塗っておきます。

 

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あとは逆の手順で組み立てておしまいです。

 

4.組み立て後は

 

清掃後はまるで新車の時のようにスムーズに開閉が出るようになりました。

 

ガソリンタンクキャップはサービスマニュアルにも分解の手順が記載されていない部品ですが、そこまで難しい構造ではないので、動きが渋かったりする方は一度分解をお勧めします。また作業は自己責任でお願いします。

 

バイク整備 燃料タンクコーティング

前回は錆と腐ったガソリンが入った燃料タンクを綺麗にしましたが、
mmttx.hatenablog.com

 

今回はガソリンタンクにコーティングをします。

 

 

1.なぜコーティングをするのか

錆を落としたての燃料タンクの表面は保護するものが何もないのですぐに錆びてしまいます。

そこで剥き出しの地金をコーティングをすることで錆の再発を防止しようという狙いです。コーティングさえできればタンク内部のサビについては今後心配する必要が無くなります。

 

 

2.コーティング剤を選ぶ

 オートバイの燃料タンクのコーティング剤としてメジャーなのはワコーズのTALタンクライナーとPOR-15のタンクシーラーがあります。

 

  

 タンクシーラーはキタコが小分けにして販売しています。

1L容器(内容量は32オンスなので907グラム)のものもありますが結構高価です。

 

 WAKO'sのTALタンクライナーは2液性のエポキシ樹脂でタンク内をコーティングするもので硬化に70~80℃で30分ほど加熱する必要があります。自然乾燥で2日以上です。

 

POR-15 燃料タンクシーラーは1液性ですが、効果に96時間(4日)ほどかかります。

 

どちらも評判がいいのですが、私はWAKO'sのTALタンクライナーを選びました。

 

 ワコーズを選んだ理由

単純にエポキシ樹脂はカーボンなどでよく使っているので慣れているというのもありますが、POR-15のタンクシーラーはおそらく気温20度の環境で96時間だと思うので、冬場にはもっと時間がかかると思いました。

そのため目に見える範囲が硬化していても、よく見えない板の合わせ目などがまだ硬化していない状態でガソリンを入れたり、なんてことも予測できるので、2液性の方が作業性はいいと判断しました。

 

3.脱脂する

早速コーティングの作業を行いますが、まずはアセトンでタンク内の水分の除去と脱脂を行います。

 

アセトンは水、油に溶けやすい有機溶剤で、身近なものだと除光液などに使われてるものです。ホームセンターのFRPコーナーで刷毛などの洗浄用として手に入ります。

 

ただし結構強力に樹脂を溶かすので塗装面につかないように気を付けましょう。(塗装も樹脂の一種です。)

 

アセトンで脱脂後は、コーティング剤をタンクに入れます。

 

4.ガソリンタンクにコーティングをする

 

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バイクは18リットルタンクなので、一回のコーティングでは半分使うことになります。

 

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取扱説明書を読むと、錆びたタンクは二回コーティングをすることを取説では推奨されているので一台分でタンクライナーを使いきります。

 

主剤、硬化剤を8対2(容量比)で混ぜます。20リットルタンクとして、主剤120mlに対して硬化剤30mlです。

 

エポキシ樹脂は正確に計量しないと本来の強度が出ないで精確に計りましょう。

 

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 注意点としては、主剤の缶の底に塗料などが沈殿しているので容器に注ぐ前に良くかき混ぜることです。

 

入れたらタンクをぐるぐる回して全体に行き渡るように動かします。

 

全体に行き渡らせたら余分なタンクライナーを抜きますが、CB400のインジェクションモデルは燃料ポンプの穴からホースを使わずにシリンジ使って抜き取ります。

 

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加熱乾燥(硬化)させる

乾燥は段ボールに穴を開けて普通のヘアドライヤーで加熱しました。

ヘッドライトの殻割りの要領です。

 

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外気温一桁のこの時期だと50~60℃前後程度でした。

 

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80℃で20分加熱なので、若干温度が低いため、加熱時間を伸ばして40分ほど行いました。

 

※加熱時の注意点※

ヒートガンだと温度が高くなりすぎてエポキシ樹脂が沸騰して失敗するので止めたほうがいいでしょう。

 

エポキシ樹脂は混ぜた際の化学反応でもそこそこ発熱するので、必要以上に加熱すると一気に沸騰します。一度にたくさんの量を混ぜると煙が出るくらいには危険です。

 

 

  完全に硬化していることを確認したら、しばらく放置してタンクが冷えてからもう一度コーティングを繰り返します。

 

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※エポキシ樹脂の重ね塗りの注意点※

WAKO'sタンクライナーの取扱説明書には特に明記されていませんが、一般的にエポキシ樹脂を重ね塗りするときは、日を置かずに当日中にやった方が良いです。

数日くらい置くとエポキシ樹脂表面が完全に硬化して接着力が弱くなる為、最悪の場合には重ねた層が剥離する事になります。

 

 

 

燃料ポンプのガスケットは新品に

2回目のコーティングがすんだら燃料ポンプ、タンクキャップを付ければ完了です。一度脱着した燃料ポンプをつける際には、ガスケットを新品に交換しておきます。

 

 

5.バタフライバルブの清掃

バタフライバルブが固着するトラブルに対しては、エアクリーナーを外してファンネルからKUREのエンジンコンディショナーを吹いて清掃します。

 

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ついでにせっかくタンクを外したのでエアクリーナーエレメントも洗浄しておきました。

 

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あとはタンクにガソリンを入れておしまい。

 

しばらくの間は洗浄効果を期待してガソリン添加剤を入れて乗りましょう。

 

 

バイク整備 タンクのサビ取り

バイクのガソリンタンクに錆が浮いてしまったので錆取りをしました。

 

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錆びたガソリンタンク

二輪の燃料タンクは錆びます

 バイクのタンクというのは一部を除き基本的にガソリンタンクは鉄製なので、気温差で結露が起こったりすると錆びてしまうのです。

特に寒暖差が大きい冬場などはタンクを満タンに入れたほうがいいといわれるのはこのためです。

 

タンクの上側はガソリンが減ると空洞になり、特に結露しやすいので綺麗にガソリンが入っていたところまで境界線が出来ています。

 

 

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腐ったガソリンで起こった不調

 加えて1年ほど放置していたのでタンク内のガソリンが腐ってしまい、べたべたするガム質に変質してしまいました。

おかげで燃料ポンプもこのありさま。

 

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他にも以下の様な不調が起きていました。

・変質したガソリンでスロットルバルブが固着するようになってしまい、アクセルを全閉から開ける際に引っかかるようになっていた。

・エンジンが高回転の時にアクセルに対しての反応が悪かったりといまいち調子が良くない。

 

一応ワコーズのヒューエルワンを入れてはいましたがさすがに駄目だった模様。

 

 

 嘆いても仕方がないので、 サビ取りを行います。

 

錆取りの手順

 と言った流れで進めます。(タンクの脱着は省略します)

 

錆びとり後はコーティングを行いますが、それはつぎのお話で

 

 

1.腐ったガソリンの処理

抜いたガソリンはガソリン携行缶に入れてガソリンスタンドで処分してもらいました。

リッター辺り数百円とられましたが、危険物でもあるのでやむを得ません。

 

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冬場のガソリンを抜いたりする作業は気休めですが曇りの日まで待ってから、静電気対策に周囲に水を撒いておいて湿度を上げてから作業をしました。

あと消火器もあったので手元に用意しておきます。

 

設備も無いですし、一人での慣れない作業の時は慎重すぎるくらいでいいと個人的には考えています。

 

 

2.タンク内の洗浄

ガソリンを抜いたら油分を除去するため、中性洗剤でタンク内を洗浄します。

普通に台所洗剤でOKです。

ケルヒャーとかの高圧洗浄機があれば軽い錆などは水圧で落ちるのでさらに作業が楽になると思います。

 

 

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 マスキング

 作業の前には傷つき防止のためマスキングテープで保護しておきましょう。

 

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 錆取り剤を入れる前に

錆取り剤を入れる前に見える範囲のサビは落としておきました。

 

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 CB400SB(NC42)は幸い燃料ポンプを入れていた穴が大きめなので、手を入れてワイヤーブラシとスチールウールで擦ることが出来るので写真のようにして作業をしました

 

 

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 サビがそこまで酷くなかったのか、表面的なモノだったので軽くこするだけで簡単に落ちました。

 

 

 

3. タンククリーナーの投入

錆取り材はワコーズ、花盛G辺りがメジャーですが、単純に一番安いAZ のものをAmazonで購入しました。

 

 タンクの保温

 錆取り剤はお湯で20倍に希釈し、錆を落とし易くするために大きめのボルトとナットを10個ほど一緒に入れておきます。

 

錆取り剤をいれたら、錆とクリーナーの反応を良くするために電気毛布で加熱し、プチプチでくるんで保温をした状態にします。

 

結構重いですが、たまに振って24時間後は画像のとおり赤茶色の沈殿物が混ざった色になっていました。

 

 

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クリーナーで取り切れなかった錆は

 ただ完全には落ち切っていなかったようで、デンタルミラーなどでタンク内を見ると端の方にはまだ錆が残っていました。

  

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 デンタルミラーは歯医者で使うようなこんな鏡です。

シンワ測定 点検鏡D 楕円型 ライト付き 50×80mm 74157

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  • 発売日: 2011/04/28
  • メディア: Tools & Hardware
 

 

 

 

次善の策として、会社で貰ったフレキシブルライトにスポンジやすりをタイラップで固定して物理的に錆を落としました。

 

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 LEDライトはこれと同じ品だと思います。

 スポンジやすりはこんなやつ。安心と信頼の3MじゃなくてもホームセンターのPB品でも大丈夫です。 ♯320番くらいの比較的粗目のものが錆を落とすのには都合がよろしいかと。

 

 

 4.錆は落ちたが・・・

 錆取り剤を抜いて、中を洗浄したらこんな感じになりました。

  

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 AZのタンククリーナーには錆の再発を防止するリンス効果があるようなので、取説の通りに少し残しておいたタンククリーナーですすぎを行いました。

 

しかしながら数分でタンク内部が変色し始めたので、再発防止のためにもコーティングを行います。

 

 

つづく

 

 

 

HICTOP  3dp-17bk の改造

何年か前にアマゾンで4万円くらいで購入した我が家の3Dプリンター HICTOP 3dp-17bk

 

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いわゆるオープンソースReprap Prusa i3 のクローン品です

 

 当初は・・・

Amazonのレビューを見ると、組み立てに苦労している方も少なからずいたのである程度は覚悟していたのですが、当たりを引いたらしくL字金具のバリ取りやアルミ2020フレームの切子の掃除くらいで特に欠品も無く、すんなり動いて今のところは大きな不満もなく稼働していました。

 

 積層のずれ

動くところまで持っていければ値段の割にそこそこ使える3Dプリンターだと思いますが、ある程度の高さ(Z軸)のあるものをプリントしようとすると積層面がずれたりしてしまうことが判明。

 

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ベルトを張り直したり、ネジの増し締めをしたり、印刷スピードを変えたりしてしているうちに少しはマトモに印刷出来るようにはなってきましたが、ふつふつとエンジニアとしての血が騒ぎだして弄り大病が発症。

 

そこで組み立て当初から気になっていたいくつかの箇所に手を加えることにしました。

 

 

割とネットでも定番の改良もありますがその分効果的だと思うので、これから組み立て式3Dプリンターの沼地へ踏み込もうという方への多少の指標になれればいいと思います。

 

 

 1.Y軸モーター補強

ステップモーターがフレームに金属製のt=2のブラケットで片持ち梁の状態なので、制振対策で両端固定にします。

 

特にY軸に関してはそれなりの頻度でモーターが稼働するし、重量物のベッドと印刷物が乗っかっている箇所なので、ゴツい方がいいと考えt=3のアルミのLアングルをカットして取り付けました。写真だとモーターの左側についているものが補強材です。

 

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y軸モーター補強

 

 ブラケットのモーターへの取り付けはネジの長さが微妙に足りなくなります。その為、m3の長さ40mmのネジを新たに用意しました。倍力ニッパーでカットして長さを調整、ダイスでねじ山を直してから使用します。

 

この補強は結構効果があったようで、印刷中のベッドの動きがスムーズになった気がします。 

 

 

 2.Z軸モーター補強

Z軸のモーターブラケットはX軸のモーターを固定しているシャフトが一緒になっています。これもY軸モーター補強と同様に両端固定にします。

 

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Z軸モーター

金属製の板を曲げて作るには少し難しい形状なので、PLAで印刷しました。

 

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ただしこの形状だとモーターと補強ブラケットの間に隙間が空いてしまうので、M3用のジュラコンスペーサーかアルミの外形5㎜、内径4㎜のパイプなどを2.5㎜位の長さにカットして隙間を埋めます。(Y軸補強では必要なかったので印刷してた後で気付いた)

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Z軸モーター補強ブラケット

 

 3.Z軸フレーム補強

Z軸方向は2020フレームが伸びているためフレーム補強も併せて行う必要があると思います。

この補強はアマゾンのレビューにあったので参考にさせていただきました。

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Z軸フレーム補強ブラケット

厚さt=2のジュラルミンの破材を使いました。

個人的には厚さが2㎜を超えると金ノコギリでは加工が大変なので避けたいところですね。

 

Z軸フレームについては、少し思うところがあるので今後追加で改良を加える予定です。
 

 

 4.Y軸エンドスイッチ移設

これは定番中の定番となっています。

取説通りの組み立た状態ではベッドの真下、Y軸のベルトホルダーの端部にスイッチが固定されているのでベッドが動くとスイッチごと配線が動く仕様になっています。

 

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Y軸エンドスイッチ 組み立て当初の状態

 配線が動くとフレーム等に引っかかったりして断線の恐れがあり、具合が悪いのでこれをY軸のモーターに固定しました。

 

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ベルトホルダー加工後

ベルトホルダーはスイッチを固定していたボルト穴の出っ張り部分が邪魔なのでカットします。その後、移設したスイッチを押すために平らな板をABS板から切り出してリベットで固定します。

 

見づらい写真ですが、左側の白い板がベルトホルダーに追加した板で、右がエンドスイッチ側です。

 

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Y軸エンドスイッチ移設後


Y軸のエンドスイッチはモーター側にABSの平板を追加して固定しました。

 

 

 5.フィラメントホルダー

印刷中にフィラメントが引っ張られて変なテンションがかかったりしていることがあったので、フィラメントリールの穴のセンターを出す為のフランジを作成しました。

  

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フィラメントリールホルダー

 一応HICTOP 社のフィラメントについてはabs、pla共に使えていますが、フィラメントのメーカーが変わるとホルダーの穴径が変わって作り替える必要がるかもしれません。 (未確認)

 

 

 6.ベルトテンショナー 

ベルトのテンションが緩むと、脱調したりして非常によくないのでこんな感じのピンチのばねみたいなのをY軸とX軸のベルトに追加しました。

  

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ベルトテンショナー

ベルトテンショナーを取り付けるタイミングとしてはベルトは新品の状態から少し伸びるので、組み上げてから少し印刷して、1回ベルトの張り直した後がいいかと。

 

500円くらいで買えるけど10個もいらない・・・

 

 7.制振スポンジ

印刷中にはそれなりに騒音や振動が発生して、下の階層の人や周囲に迷惑が掛かりそうなのでプリンターの下にEPDMスポンジシートを敷いています。

 

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プリンターの下敷き

 別の用途で買った大物のシートがあったのでそれを使っていますがそれなりに値が張るので、ゴム足の下に敷くようにするだけでもいいかもしれません。

 

 最後に

ThingiverseでHICTOPと検索を掛けると、海外の沼の住人たちが自作部品をSTLデータで公開しているのでそちらも参考にどうぞ

 

www.thingiverse.com